JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント

概要

JIS K 5553厚膜形ジンクリッチペイント」についてのJIS規格で、鋼材の防せい(錆)に用いる厚膜形ジンクリッチペイント(亜鉛末,アルキルシリケート又はエポキシ樹脂,硬化剤,顔料及び溶剤を主な原料としたもの)についての規定です。
2026年2月時点の最新はJIS K 5553:2023であり、詳細な規格の内容は下記をご確認ください。
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種類

JIS K 5553は、下記のような種類があります

種類 呼び名 概要
1種 膜厚形無機ジンクリッチペイント アルキルシリケートをビヒクルとした,
1液1粉末形又は1液1ペースト形のもの。
2種 膜厚形有機ジンクリッチペイント エポキシ樹脂をビヒクルとした,
2液1粉末形又は2液形(亜鉛末を含む液及び硬化剤)のもので,
硬化剤にはポリアミド,アミンアダクトなどを用いる。

このように原料によって1種と2種が分かれており、その内容もJIS K 5552とかなり類似しています。

品質

品質項目としては、下記が定められています。
・容器の中の状態
・乾燥時間
・塗膜の外観
ポットライフ
・耐おもり落下性 
・厚塗り性
・耐塩水噴霧性
・混合塗料中の加熱残分
・加熱残分中の金属亜鉛 
・屋外暴露耐候性

こちらもJIS K 5552と非常に似ていますが、項目で比較すると、塗装作業性がない代わり、厚塗り性があります。

厚塗り性は、乾燥膜厚が120-140μmになるように塗装して試験片を立て、塗膜異常がないかを確認する試験で、なかなか他の塗料規格であまり見ない試験です。

その他の品質項目については、JIS K 5552と項目名が同じといっても、もちろん試験条件や数値は異なっており、
例えばJIS K 5552では1h以内であった乾燥時間が5hまたは6h以内と長いことや、JIS K 5552では6か月であった屋外暴露耐候性の期間が24か月であることなど、プライマーと上塗りに求められる性能の違いが表れています。

なお、かつては「エポキシ樹脂の定性」という品質項目があり、カタログその他の資料で見かけることがありますが、この項目は2010年の改定時に削除されています。

主な製品

JIS K 5553 に該当する主な製品は下記の通りです。

- 塗料データベース内検索

※ 主に認証品を記載していますが、一部相当品が含まれる場合があります。必ず個別ページ及びメーカー情報をご確認下さい。

こちらもメーカーはJIS K 5552とほぼ同じ顔ぶれで、日本ペイントとエーエスペイントの両方にジンキーブランドがあるのも同じです。

塗装仕様・必要とされる場面

主に、公共工事建築仕様書などでJIS K 5553が必要とされます。
「建築工事編」ではなく「機械設備工事編」
「厚膜形ジンクリッチペイント」ではなく「有機質亜鉛末塗料」
として記載されています。

そのほか、鋼道路橋防食便覧においても1種または2種が指定されています。

深堀り:他規格への利用

深堀と言っても、この項は実はJIS K 5552の記事と概ね同じです。
JIS K5553についても、JIS規格そのままでなく、鉄道や高速道路などの独自規格のベースとして利用されています。
主に下記のようなものがあります。

NEXCO 構造物施工管理要領

NEXCO 塗料規格
 P-05 無機ジンクリッチペイント
 P-06 有機ジンクリッチペイント
の規格においては、それぞれ
JIS K 5553 1 種および2種に示す品質(※)を満たした上で、さらに独自の複合サイクル防食性曝露防錆性が必要とされます。

※JIS K 5553(1 種2種)に示す品質項目のうち、容器の中での状態、耐塩水噴霧性、耐水性及び屋外暴露耐候性を除く。

阪神高速道路株式会社 土木工事共通仕様書関係基準

HDK P-03 有機ジンクリッチペイント
の規格においては、
本規格の内容は、JIS K 5553(厚膜形ジンクリッチペイント2種)に準拠する。ただし、耐候性は削除した。

HDK P-16 無機ジンクリッチペイント
の規格においては、
本規格の内容は、JIS K 5553(厚膜形ジンクリッチペイント1種)と同一である。ただし、耐候性は削除した。

となっており、いずれもJIS K 5553同等が求められます。

首都高速道路株式会社 土木材料共通仕様書

SDK P-411、P-412 ジンクリッチペイント
の規格においては、
本規格の内容は、JIS K 5553 1 種 厚膜形無機ジンクリッチペイント、2種 厚膜形有機ジンクリッチペイントの規格を基本とし、耐塩水噴霧性を耐複合サイクル防食性に、屋外暴露耐候性を暴露防錆性に変更し、エポキシ樹脂の定性及び赤外吸収スペクトルを加えたものである。
となっており、こちらもJIS K 5553 1種2種の影響が強い規格です。

鉄道総合技術研究所

SPS 66053-9 厚膜型無機ジンクリッチペイント
SPS 66053-11 厚膜型エポキシ樹脂ジンクリッチペイント

の規格においては、対応するJIS規格がJIS K 5553となっています。

その他

また、それぞれの具体的な記述までは調べきれていませんが、
福岡北九州高速道路公社 構造物設計基準
 FKD-P-02 無機ジンクリッチペイント
 FKD-P-03 有機ジンクリッチペイント
本州四国連絡高速道路株式会社

 HBS K5603 厚膜型無機ジンクリッチペイント
 HBS K 5605 厚膜型エポキシ樹脂ジンクリッチペイント
 HBS K 5617 厚膜型無機ジンクリッチペイント 鋼床版上面用

等でも定められており、JIS K 5553ベース、または引用されていることが想定されます。

このように、直接的な規格指定だけでなく、間接的な引用として、非常に広く使用されている面が大きい規格、という点もJIS K 5552と似ています。
一点違うところは、JIS K 5552 では無機(1種)のみが各規格や塗装仕様に影響していたところ、JIS K 5553に対してはそれぞれの規格で、有機も無機も定められていることでしょうか。

免責事項

この記事は記者の調査または経験に基づき、その内容には正確を期しておりますが、
購入や採用などの判断を行う場合は、必ず各規格書及び塗装仕様書の原本を確認してください。
また、「ここ間違ってるよ」「このような塗装仕様でも使うよ」といったことがあれば、
お気軽にお問い合わせフォームからご指摘ください。

公開日 2026/3/8
最終更新2026/3/8