JIS A 6021 建築用塗膜防水材 

概要

JIS A 6021は「建築用塗膜防水材」についてのJIS規格で、主に鉄筋コンクリート造建築物の屋根及び外壁などの防水工事に用いる塗膜防水材についての規定です。
2026年1月時点の最新はJIS A 6021:2022であり、詳細な規格の内容は下記をご確認ください。
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- 単品販売(JIS A 6021:2022)(JSA)
- 目次プレビュー(JSA)

種類

JIS A 6021には、下記のような種類があります

用途 種類
屋根用塗膜防水材 ウレタンゴム系 高伸長形(旧1類)
高強度形
アクリルゴム系
クロロプレンゴム系
ゴムアスファルト系
外壁用塗膜防水材 アクリルゴム系
ウレタンゴム系
クロロプレンゴム系
シリコーンゴム系

表の通り屋根用と外壁用の二つに分かれ、またそこから樹脂の種類により分類されています。

JIS A 6021ではさらにここから、
・屋根用塗膜防水材は一般用/立上がり用/共用
と3種類に分かれ、またすべての区分で
・1成分形/2成分形
と分かれます。

実際に2成分形となるのはほぼウレタンゴム系ですが、アクリルゴム系についても、エポキシを利用した2成分形の製品での取得が可能のようです。

これをそのまま表にすると膨大になるので、
当サイトで存在を確認した製品に絞ったのが下記表です。

用途 種類 リンク
外壁用塗膜防水材 アクリルゴム系 1成分形 製品を検索する
2成分形 製品を検索する
屋根用塗膜防水材 ウレタンゴム系 高伸長形
(旧1類)
一般用 1成分形 製品を検索する
2成分形 製品を検索する
立上がり用 1成分形 製品を検索する
2成分形 製品を検索する
共用 2成分形 製品を検索する
高強度形 一般用 2成分形 製品を検索する
立上がり用 2成分形 製品を検索する
共用 2成分形 製品を検索する
アクリルゴム系 製品を検索する
ゴムアスファルト系 製品を検索する

※当サイト検索に製品がある種別のみを記載した表です。

このように、製品流通が確認できない区分を除外して整理すると、やや見通しの良い構成となりました。この通り、実際には特定の樹脂系や用途に製品が集中しています。

「高伸長形(旧1類)」という、ちょっと珍しい書き方の分類については、後ほど深堀りします。

品質項目としては、
・引張性能
 引張り強さ 23℃/-20℃/60℃
 破断時の伸び率
 抗張積(屋根用のみ)
 破断時のつかみ間の伸び率 23℃/-20℃/60℃
・引裂性能
 引裂強さ
・加熱伸縮性能
 伸縮率
・劣化処理後の引張性能
 引張強さ比    加熱処理/促進曝露処理/アルカリ処理/酸処理
 破断時の伸び率  加熱処理/促進曝露処理/アルカリ処理/酸処理
・伸び時の劣化性状 加熱処理/促進曝露処理/オゾン処理
・付着性能(外壁用のみ)
 付着強さ     無処理/温冷繰返し処理後
・耐疲労性能(外壁用のみ)
・たれ抵抗性能(屋根用 一般用以外)
 たれ長さ
 しわの発生
・固形分
・硬化物密度(屋根用ウレタンゴム系のみ)
となっており、項目数はおそらく塗料系のJIS品質で一番多いのではないでしょうか。

とはいえ見ての通り、塗料性状などはほとんどありません。一般的な容器の中の状態塗膜の外観も、2液塗料でお馴染みのポットライフもありません。
その代わり、硬化した塗膜の伸びに関する性能を示す項目が非常に多く、JIS A 6021にとって、様々な環境下での伸び性能こそが重要であることを示しています。

JIS A 6021は防水材であり、雨水などを屋内に入れないことが最重要の目的です。
硬化収縮その他の理由で基材コンクリートが割れようと、気温や湿度で基材が動こうと、あるいは塗膜が経年で劣化しようと、一定期間は防水性能を保たなければなりません。その指標となるのが塗膜の伸び性能というわけです。

主な製品

JIS A 6021 に該当する主な製品は下記の通りです。
- 塗料データベース内検索

※表が大きくなりすぎるので、屋根用塗膜防水材については分割しました。

外壁用塗膜防水材

メーカー アクリルゴム系
1成分形 2成分形
イサム塗料 アトロンエラストマー主剤WT
アトロンエラストマー主剤RT
エスケー化研 レナエクセレントA主材
レナエクセレントAローラー用主材
関西ペイント リベルマイスター21
アレスゴムウォール(ローラー用)
菊水化学工業 キクスイ ラバーウォール 透湿弾性タイル・REベース
シーカ・ジャパン ダイヤスーパーダンセイロール主材
スズカファイン ラフトンボースイタイルR
ラフトンボースイタイル
セブンケミカル セブンウォール
田島ルーフィング RVボースイタイルR
RVボースイタイルS
東亞合成 アロンコートST
日本ペイント DANエクセル中塗J
日本特殊塗料 ハイプルーフ中塗N
フジワラ化学 ハーゲンZF
ハーパスF

屋根用塗膜防水材①

メーカー ウレタンゴム系 高伸長形 (旧1類)
一般用 立上がり用 共用
1成分形 2成分形 1成分形 2成分形 2成分形
アトミクス アトレーヌイージーワンエコN アトレーヌU-#60スーパーN
エスケー化研 アーキルーフUAエコ
クールタイトUAエコ
UAエコ立上り用
シーカ・ジャパン エバーコート Zero-1H
エバーコート Zero-1S
コスミックPRO・ゼロワンH
コスミックPRO・ゼロワンS
DPワンガード・ゼロ
FSコート・ゼロ
Sikalastic®-727
DS カラー・ゼロ
DS ツーガード・ゼロ
コスミック PRO12・ゼロ
アスミックNB
エバーコート Zero-1H 立上り用
エバーコート Zero-1S 立上り用
コスミックPRO・ゼロワンH 立上り用
コスミックPRO・ゼロワンS 立上り用
WSコート・ゼロ
DPワンガード・ゼロ 立上り用
ネオフレックス・ゼロ
Sikalastic®-727 立上り用
DS カラー・ゼロ 立上り用
DS ツーガード・ゼロ 立上り用
コスミック PRO12・ゼロ 立上り用
アスミックNB 立上り用
コスミック・RIM S200(N)
DPC スプレーコート
エバーコートSP-100
スズカファイン ワンツーボウスイDX
ワンツーボウスイECO
大同塗料 ボースイテックス#2000V
田島ルーフィング オルタックエース
オルタックエースUC
オルタックエースVR
立上り用オルタックエース 巾木・側溝用オルタックエース
東日本塗料 フローン#11
フローン#12
エコフローン#12
フローン#11 立上がり用
フローン#12 立上がり用
エコフローン#12 立上がり用
日本ペイント ニッペパーフェクト1KプルーフNM ニッペパーフェクト1KプルーフNM立上り用
日本特殊塗料 プルーフロンエコONEⅡ プルーフロンエコHG
プルーフロンエコHG MID
プルーフロンエコDX
プルーフロンエコDX MID
プルーフロンエコ
プルーフロンエコホワイト遮熱
プルーフロンバリュー
プルーフロンバリューDX
プルーフロンバリューDXホワイト遮熱
プルーフロンエコONE NSⅡ プルーフロンエコDX NS
プルーフロンエコNS
プルーフロンエコNSホワイト遮熱
プルーフロンバリュー NS
プルーフロンバリュー DX NS
プルーフロンバリュー DX NSホワイト遮熱
NTスプレー タイプS
プルーフロンエコ目止材
保土ヶ谷建材 HCスプレーPⅡ
HCスプレーFⅡ
ミリオネートC
フラットスター
凄極膜
HCエコプルーフ
HCエコプルーフET
凄極膜 立面用
HCエコプルーフV
HCエコプルーフET V
ミリオネートC立面用
フラットスター立面用

屋根用塗膜防水材②

メーカー ウレタンゴム系 高強度形 アクリル
ゴム系
ゴムアス
ファルト系
一般用 立上がり用 共用
2成分形 2成分形 2成分形
アトミクス アトムレイズJSサーモ
アトムレイズJS
イサム塗料 アトロンエラストマー主剤WT
アトロンエラストマー主剤RT
シーカ・ジャパン Sikalastic®-727
アスミックNB
Sikalastic®-727 立上り用
アスミックNB 立上り用
コスミック・RIM S100
コスミック・RIM S150
コスミック・RIM S200(N)
DPC スプレーコート
DPC スプレーコート 200
エバーコートSP-100
エバーコートSP-200
プラマックス500
田島ルーフィング ビルコートS
日本特殊塗料 NTスプレー タイプH
保土ヶ谷建材 凄極膜 凄極膜 立面用

当サイトで製品を確認した項目のみとし、さらに分割したにもかかわらず、
かなり大きい表になってしまいました。

このほか、
・田島ルーフィング「GO-JIN」シリーズ
・田島ルーフィング「オルタックサンキュア」シリーズ
などもJIS A 6021を取得していることを確認していますが、
詳細な分類情報が不明の為、除いております。

塗装仕様・必要とされる場面

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)および 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)では、下記の仕様について、JIS A 6021 を明記した塗装仕様が定められています。
詳細は以下の仕様書を参照ください。直接該当ページへとリンクしています。

  • 公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版)

  9章防水工事 5節塗膜防水

  • 公共建築改修工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版)

  3章防水改修工事 6節塗膜防水
  4章外壁改修工事 7節 外壁用塗膜防水材による改修

また、建築工事標準仕様書 JASS8 防水工事の塗装仕様でJIS A 6021が必要とされます。

ウレタンゴム系高伸長形塗膜防水工法・密着仕様(L-UFS)
・ウレタンゴム系高強度形塗膜防水工法・密着仕様(L-UFH)
・ウレタンゴム系高伸長形塗膜防水工法・絶縁仕様(L-USS)
・ウレタンゴム系高強度形塗膜防水工法・絶縁仕様(L-USH)
・アクリルゴム系塗膜防水工法・外壁仕様(L-AW)
・ゴムアスファルト系塗膜防水工法・室内仕様(L-GI)
・ゴムアスファルト系塗膜防水工法・地下外壁仕様(L-GU)

等の工法にて、JIS A 6021の種類名が指定されています。

余談ですが、JASS 8 の塗膜防水にはもう一つ
FRP系塗膜防水工法・密着仕様(L-FF)
というものがあり、この材料はJASS 8 M-101で規定されています。

そのほか、東京都建築工事標準仕様書にもこの規格塗料が指定されています。

深堀り①:防水材の上塗りについて

JIS A 6021は防水材の規格ですが、現実の工法では防水材を施工してできた防水層のあとに、トップコートが塗装されます。

トップコートそのものについての規格はありませんが、このトップコートには多くの性能が求められます。
というのも、屋上防水やベランダ防水では、「屋根でありながら床でもある」面だからです。一般的に、壁面に対して屋根や床は過酷であったり特有の性能が必要となります。

まず屋根用塗料は、高い耐候性が求められます。
屋上やベランダでは勾配を持たせるとはいえ水が滞留するため、外部の床用塗料として、高い耐水性も必要です。酸性雨を考えれば、耐酸性も必要でしょうか。
さらに、床用塗料として、耐衝撃性もいるでしょう。あるいは、耐摩耗性も必要かもしれません。
またウレタン防水層に可塑剤でゴム弾性を付与している場合、トップコートで抑えるためのシール性能も必要です。

防水材のカタログなどにおいて、塗膜防水における上塗りの単体性能を語られることはあまり多くありませんが、防水層を保護するための様々な性能が付与されています。

深堀り②:高伸長形(旧1類) という名称について

JIS A 6021 屋根用塗膜防水材 ウレタンゴム系は、
・高伸長形(旧1類)
・高強度形
に分かれます。

高伸長形=旧1類であるのは分かるとして……
・旧2類はなんなのか
・高強度形は旧何類なのか
について、調べてみました。

結論としては、当初のJIS A 6021は「屋根防水用塗膜材」であり、その分類として、
ウレタンゴム系 1 類(露出用)
・アクリルゴム系(露出用)
・クロロプレンゴム系(露出用)
・ウレタンゴム系 2 類(非露出用)
・アクリル樹脂系(非露出用)
・ゴムアスファルト系(非露出用)

となっていました。

時系列としては下記のようになります。

1976年制定 JIS A 6021 屋根防水用塗膜材
1989年改正 JIS A 6021 屋根用塗膜防水材(名称変更)
2000年改正 JIS A 6021 建築用塗膜防水材(名称変更、外壁用の追加)
2006年改正
2011年改正 ウレタンゴム系の分類変更
      1類(露出用)/2類(非露出用)から、高伸長形(旧1類)/高強度形

ということで、当初の疑問の答えはこうなります。

・旧2類はないのか
 →非露出用ですが、2011年改正で廃止されました。
・高強度形は旧何類なのか
 →2011年改正で追加されました。

深堀り③:飛び火認定について

簡単に言えば、隣家の火事などで火の粉が屋根などに飛んだ際、そこから燃え広がらない性能を飛び火性能といい、この性能についての大臣認定を飛び火認定といいます。

一般的な屋根用塗料ではあまり目にしませんが、防水材のカタログ等を見ていると目にすることがあるかと思います。これはなぜでしょうか。

飛び火認定が必要とされる条件は、
平成12年5月25日の建設省告示第1365号に定められています。

防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造方法を定める件
一 不燃材料で造るか、又はふくこと。
二 屋根を準耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったものに限る。)とする
こと。
三 屋根を耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったもので、かつ、その勾
こう配が水平面から三十度以内のものに限る。)の屋外面に断熱材(ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォームその他これらに類する材料を用いたもので、その厚さの合計が五十ミリメートル以下のものに限る。)及び防水材(ア
スファルト防水工法、改質アスファルトシート防水工法、塩化ビニル樹脂系シート防
水工法、ゴム系シート防水工法又は塗膜防水工法を用いたものに限る。)を張ったも
のとすること。

これらの条件を全て満たす場合、飛び火認定は必要ありません。
つまり一般的なRC造の屋上などで、ここに挙げられている防水工法であれば必要ありません。

逆に条件を一つでも満たさない場合、例えば
素材がセメントボードである
・屋根勾配が30度を超える

・断熱材が50mmを超える
・ここに定められていない防水工法

のうち一つでも該当する場合には飛び火認定が必要となるため、
防水システムで飛び火認定を取得しているものがある訳です。

防水でない、一般的な屋根用の塗装材で飛び火認定を取らない理由は調べきれませんでしたが、想像するに、通常の屋根塗装は一般的に防水材と違って有機層が薄い(だいたい1/30~1/10くらいでしょうか)ため、実質的に下地の構造と同等と見なされているのかもしれません。
薄いとはいえ、樹脂を塗りつけたものを耐火構造とは言えない気もしますが、もし飛び火認定が必要となれば大きな混乱を招きそうです。

免責事項

この記事は記者の調査または経験に基づき、その内容には正確を期しておりますが、
購入や採用などの判断を行う場合は、必ず各規格書及び塗装仕様書の原本を確認してください。
また、「ここ間違ってるよ」「このような塗装仕様でも使うよ」といったことがあれば、
お気軽にお問い合わせフォームからご指摘ください。

公開日 2026/1/25
最終更新2026/1/25