
JIS K 5621 一般用さび止めペイント
概要
JIS K 5621は「一般用さび止めペイント」についてのJIS規格で、さび止め顔料に鉛系及びクロム系成分を使用しないで,一般的な環境下での鉄鋼製品などのさび止めに用いる一般用さび止めペイントについての規定です。(ただしJIS K 5674 鉛・クロムフリーさび止めペイントは除外)
2025年10月時点の最新はJIS K 5621:2019であり、詳細な規格の内容は下記をご確認ください。
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- 単品販売(JIS K 5621:2019)(JSA)
- 目次プレビュー(JSA)
- 単品販売(JIS K 5621:2019/追補1:2021)(JSA)
種類
JIS K 5621には、下記のような種類があります
| 種類 | 適用 | 分類 | その他 |
|---|---|---|---|
| 1種 | 屋内外用 | ボイル油系 | - |
| 2種 | 屋内外用 | 溶剤系 | - |
| 3種 | 屋内外用 | 溶剤系 | 速乾性、短期間の屋外暴露耐候性 |
| 4種 | 屋内用 | 水系 | - |
1種は、酸化重合で硬化するような、いわゆる乾性油系の塗料です。
2種と3種の違いは速乾性と屋外暴露耐候性となっていますが、
品質の違いとしては加熱残分、サイクル腐食性、屋外暴露耐候性、の三点であり、
速乾性試験などは定められていません。
また、3項目いずれも2種の方が高い基準であるため、品質規定上は完全に2種が3種の上位互換となっています。
主な製品
JIS K 5621 に該当する主な製品は下記の通りです。
| メーカー | 品名 |
|---|---|
| 2種 | |
| 石川ペイント | SR速乾さび止めペイント |
| 石川ペイント | SRサビノーン速乾形 |
| スズカファイン | 速乾ラスノン5621 |
| 関西ペイント | 速乾サビナイト(F4) |
| 大同塗料 | 錆止ペイント |
| 大同塗料 | ダイドー スーパードライD3 |
| 大日本塗料 | T.Dプライマー 4F |
| 大日本塗料 | D21プライマー 速乾 |
| トウペ | トアボーセイ#100 |
| トウペ | QDトアボーセイ#100 |
| トウペ | カラートアボーセイ#100 |
| ニッペホームプロダクツ | FOR PRO 速乾性さび止め塗料 |
| 日本ペイント | 速乾さび止めエコ |
| ロックペイント | ロックコートF4 21プライマー |
| 4種 | |
| インターナショナルペイント | IP水性メタルコート サビ止め |
※ 主に認証品を記載していますが、一部相当品やJIS表示停止中のものが含まれる場合があります。必ず個別ページ及びメーカー情報をご確認下さい。
記者の調査した限りでは、1種と3種はみつかりませんでした。
また、4種も認証品という記述は見つからず、おそらく相当品であるため、
実質的にこの規格の認証品は2種のみが流通しているようです。
1種のボイル油系は現在においてはさび止め製品としては一般的でなく、
また前述の通り3種は品質的には2種を兼ねられ、またおそらく3種を指定した塗装仕様がないことから、認証品の必要性が薄いのではないかと考えられます。
4種の水系については、
JASS18 M-111 水系さび止めペイント
の記事にて比較・考察しています。
塗装仕様・必要とされる場面
主に、土木工事共通仕様書などでJIS K 5621が必要とされます。
詳細は以下の仕様書を参照ください。
ここでは種別の指定はないようです。
そのほか、
第4章 工事 第7節 港湾工事 11付属工 3 車止め・縁金物工
において、JIS K 5621 2種が指定されています
深堀り:仲間はずれな気がする
塗装仕様の項にあるとおり、JIS K 5621は、土木工事共通仕様書の塗装仕様に記載されています。
その一方で、公共建築工事標準仕様書、公共建築改修工事標準仕様書、建築工事標準仕様書などの主な建築工事の仕様書には記載されていません。
いわゆる錆止め塗料の規格には、主に下記のようなものがあります。
・JASS18 M-109 変性エポキシ樹脂プライマー
・JASS18 M-111 水系さび止めペイント
・JIS K 5551 構造物用さび止めペイント
・JIS K 5552 ジンクリッチプライマー
・JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント
・JIS K 5621 一般さび止めペイント
・JIS K 5674 鉛・クロムフリーさび止めペイント
・JPMS-21 水系さび止めペイント
・JPMS-28 一液形変性エポキシ樹脂さび止めペイント
・JPMS-30 鋼構造物用水性さび止めペイント
・JPMS-32 厚膜形水性有機ジンクリッチペイント
このうち、建築工事の塗装仕様に記載されていないのは、
・JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント
・JIS K 5621 一般さび止めペイント
・JPMS-21 水系さび止めペイント
・JPMS-30 鋼構造物用水性さび止めペイント
・JPMS-32 厚膜形水性有機ジンクリッチペイント
くらいでしょうか。
JPMS-30は、JIS K 5551のたたき台としての位置づけでもありますし、JPMS-32は調べた限りでは該当品なし、JIS K 5553も、名前から(重)防食用の塗料とわかりますので、建築の標準仕様書に載っていないのも違和感ありません。
そうみると、JIS K 5621とJPMS-21は、規格を見ても該当する製品を見ても、一般的に建築で使用されるような規格でありながら、建築の標準仕様書から仲間外れにされているような印象を受けます。
ここはやや違和感が大きいため、調べてみたところ……
見つかりました
大日本塗料 平成22年版「公共建築工事標準仕様書」の内容と当社の取り組み
JIS K 5621一般さび止めペイント1種とJIS K 5625シアナミド鉛さび止めペイント1種は供給少なく削除。
この記述を見ると、どうやら、平成19年度公共建築工事標準仕様書には記載されており、平成22年度の更新時点で削除されたようです。
土木工事共通仕様書でJIS K 5621を用いる部分ではJIS K 5674も併記されており、実際のところ、どうしてもJIS K 5621を使わなければならない場面はかなり限られます。東京都土木工事標準仕様書では指定されているものの、非常に限定された用途となります。
しかし、公共建築工事標準仕様書から削除された15年後の現在でも10以上の商品が残っているということは、どこかJIS K 5621を使わなければならない場面があるのでしょうか。
またJPMS-21についても、こちらは一般のウェブサイトですが、平成16年度公共工事標準仕様書に記載されているとの情報がありました。おそらく、現在JASS18 M-111が指定されている部分かとは予想しますが……
いまいちスッキリする結論は出ませんでしたが、まずは事実確認のため、過去の公共工事標準仕様書が必要です。入手次第、この記事に追記予定です。
2025/10/11追記
平成19年度公共建築工事標準仕様書を入手しました。
錆止め塗料塗りについて、JIS K 5674はA種(屋内外)、JIS K 5621はB種(屋内)と定められており、
当時では標準的な仕様に定められていたことが確認できました。
この仕様が適用された建築物の、補修塗装などでも実質的に指定されることがあるかもしれません。
JPMS-21については記載がなく、平成16年度版も入手する必要がありそうです。
免責事項
この記事は記者の調査または経験に基づき、その内容には正確を期しておりますが、
購入や採用などの判断を行う場合は、必ず各規格書及び塗装仕様書の原本を確認してください。
また、「ここ間違ってるよ」「このような塗装仕様でも使うよ」といったことがあれば、
お気軽にお問い合わせフォームからご指摘ください。
公開日 2025/10/7
最終更新2025/10/11
