はじめに

F☆☆☆☆(読み:エフ・フォースター)は、住宅や公共施設の内装などで非常に重要な規格です。 この表示がないと使用できないケースも多く、特に内装用塗料では過半数、外装用塗料でも多くの製品が 認定・自主表示・性能相当 のいずれかを示しています。

該当製品が非常に多いため当サイトの検索機能では対象としていませんが、 塗料の規格として重要であるため、ここで解説します。

F☆☆☆☆とは

F☆☆☆☆は、ホルムアルデヒドの放散量を示す等級です。

等級 放散量 使用制限
F☆☆☆☆ ほとんどない 制限なし
F☆☆☆ 非常に少ない 使用面積制限あり
F☆☆ 少ない 使用面積制限あり

塗料の場合、ほとんどの製品は F☆☆☆☆ です。

種別

また、塗料のF☆☆☆☆表示は大きく分けて以下の3つに分類されます。

種別 内容
認定品 JIS規格認証または大臣認定を受けた製品
自主表示品 業界団体などに登録された製品
性能相当品 メーカーがカタログ等でホルム放散量がF☆☆☆☆相当と表記された製品

認定品

一見すると「認定品」が最も信頼できるように思えますが、制度上の制約があります。 大臣認定の正式なF☆☆☆☆は、以下の条件を満たす製品に限られます。

ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、 またはホルムアルデヒド系防腐剤を使用したものに限る。

この条件に該当しない塗料は、正式なF☆☆☆☆を取得することができません。 現在市販されている多くの内外装用塗料はこの条件外にあるため、 正式なF☆☆☆☆取得が不可能です。

ただし、JIS規格そのものにホルムアルデヒド放散等級区分がF☆☆☆☆であることを規定されている場合があり、その場合はラベル等に表示されます。
具体的にはJIS K 5531、5533、5535、5582、5660、5663、5668、5669、5670、5960がこれに該当します。

自主表示品

しかしながら、現場では「F☆☆☆☆塗料を使うこと」という仕様が頻繁に求められます。
公共工事の建築仕様書にも、塗料を「F☆☆☆☆とする」という表記が散見されます。
公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版)
公共建築改修工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版)
しかし、前項に書いた通り、正式なF☆☆☆☆表示が不可能な塗料が多数存在します。
なんだか矛盾していますね。

そのような事情から、下記のような業界団体による自主表示制度が整備されています。
各業界団体に申請し制度を利用することで、F☆☆☆☆と同水準の商品であると、カタログや製品に記載することができます。

性能相当品

さらに、さらにいえば自主表示すらできない場合があります。
例えば、外装専用塗料や、国交省資料で「ホルムアルデヒド放散がほとんどない」とされる材料などです。

参考: 告示対象外で規制を受けない建材の例(国交省PDF)

しかし、それでも仕様としてF☆☆☆☆製品を使うように要望される場合があります。
このような場合は、メーカーはF☆☆☆☆と同等の性能を満たすなどの書面をカタログに記載するなどで対応することがあります。

おわりに

簡単に解説のつもりが、少し長くなってしまいました。

本来のF☆☆☆☆(認定)についての解説サイトは多いですが、塗料についての解説として、
自主表示制度などを含めて掘り下げてみました。
皆様の参考になれば幸いです。


免責事項

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